今回は、マンション大規模修繕2回目について解説していきます。
国土交通翔の「令和3年度マンション大規模修繕に関する実態調査」よると、2回目の大規模修繕が最も多く実施される時期は築26年〜30年(全体の47.2%)です。
1回目の修繕から10年以上が経ち、「そろそろ2回目を考えなければいけないが、費用がいくらかかるのか、何をするのか全く分からない」という管理組合の理事の方は非常に多くいらっしゃいます。
記事内では
- マンション大規模修繕2回目の実施時期と1回目との違い
- 2回目でかかる費用相場と資金不足への対処法
- 2回目から新たに加わる工事内容の全体像
- 管理会社・コンサルに任せると起こるトラブルの実態
- 工事期間中の過ごし方と住民への周知ポイント
- 3回目に備えた積立金の考え方
などをお伝えします。
こちらの記事をお読みのあなたは2回目の大規模修繕で損をせず・失敗しない可能性が非常に高くなりますので、ぜひ最後までお読みください!
マンション大規模修繕の2回目はいつやる? 何年ごと?

「2回目の大規模修繕はいつ実施すればいいのか」というのが最初の疑問ですよね。
結論からいうと、2回目は1回目から約12〜15年後が目安で、最も多いのは築26〜30年のタイミングです。
国土交通翔の実態調査データで見る実施時期
国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、工事回数ごとの実施時期は以下のとおりです。

出典:国土交通省「令和 3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
注目すべきポイントは、1回目→2回目の周期(平均14年)が、竣工→1回目の周期(平均15.6年)よりも短くなるという事実です。建物の経年劣化が加速するほど、より頻繁なメンテナンスが必要になります。積立金を積み立てる期間も短くなるため、資金計画の観点でも注意が必要です。
「12年周期」はあくまで目安。劣化診断が最優先
一般的に「外壁塗装の耐用年数=12年」をベースに12年周期が推奨されており、理論的な2 回目の目安は築24年です。
ただし実際の実施時期は、築年数よりも建物診断(外壁打診調査・劣化診断)の結果を優先すべきです。立地環境・1回目の工事品質・その後のメンテナンス状況によって建物の状態は大きく変わります。
「何年経ったから」ではなく、「建物がどんあ状態か」を専門家に診てもらうことが正しい判断には大切です。
一回目と2回目の大規模修繕の違いとは?

「1回目と2回目って何が違うの?」という疑問を持たれている方は多いです。
一言で言うと、2回目は1回目よりも「修繕箇所が格段に増え、費用も難易度も上がる」ということです。
違い①:修繕箇所が1.5倍〜2倍に増える
1回目(築12〜15年)は外壁塗装・屋上防水など表面的な修繕が中心でした。
2回目(築25〜30年)を迎える頃には、建物の構造部分・設備系統にも本格的な劣化が現れてきます。

違い②:「修繕」から「性能向上」へ目的が変わる
1回目の目的は主に「建物の機能維持(元の状態に戻す)」でした。2回目は「資産価値の維持・向上」という観点が加わります。
入居から20年以上が経ち、住民の高齢化・ライフスタイルの変化が進んでいます。そのため以下のような「バリューアップ工事」を同時に検討するマンションが増えています。
- バリアフリー化(手すり設置・段差解消・スロープ)
- セキュリティ強化(防犯カメラ増設・オートロック更新)
- 省エネ化(LED照明・高効率給湯設備)
- 利便性向上(宅配ボックス・EV充電・Wi-Fi整備)
違い③:業者選定の難易度あ格段に上がる
1回目は工事内容が比較的シンプルなため、業者の実力差が出にくいのです。しかし2回目は設備系の大型工事が加わり、業者によって見積もりの項目・仕様・金額が大きく変わります。
「相見積もりを取ったけど、各社バラバラで比較できない」という状況が起きやすいのがこの段階です。これが2回目で管理組合が最も失敗しやすいポイントです。
2回目の大規模修繕の工事内容を一覧で解説!追加費用が発生する項目はここだ

2回目の工事内容は「1回目から継続する工事」と「2回目から新たに加わる工事」の2種類に分かれます。見積もりを受け取ったときにどの工事が必要でどの工事が追加かを判断するために必ず把握しておきましょう。
継続工事(1回目から繰り返す工事)
以下は1回目でも実施した「基本的な修繕工事」です。2回目では1回目で補修で済んだ箇所が全面更新になるケースが多くなります。

新規工事(2回目から加わる工事)
これが追加費用の主な発生源です。設備の法定耐用年数が到来し、補修では対応できない「交換・更新」が必要になります。

⚠️ 追加費用が発生するケースとは?
見積もりに含まれていなかった工事が工事開始後に発覚して追加請求されるケースがあります。主な原因は「事前の建物診断が不十分」「見積もりが曖昧な仕様で作成されている」の2点です。第三者の専門家に見積もりをチェックしてもらうことで、このリスクを大幅に減らせます。
任意検討工事(バリューアップ)
必須ではありませんが、資産価値向上・居住満足度アップにつながる工事として同時に検討するマンションが増えています。
- 宅配ボックスの新設・増設
- EV充電スタンドの設置
- 防犯カメラの増設・高解像度化
- 玄関廊下・共用部のバリアフリー化
- 光回線・Wi-Fi環境の整備
マンション大規模修繕2回目の費用相場はいくら?高額化する3つの理由

2回目の大規模修繕の費用は、1回目と比べて1.5〜2倍になるケースが多いです。
「思ったより高かった」と後から後悔しないために、費用が高くなる理由を先に理解しておきましょう。
費用の目安(規模別)

費用が高額化する3つの構造的理由
理由①:設備系の大型工事が加わる
給排水管の更新・エレベーターリニューアル・機械式駐車場更新など、1回目では不要だった大型設備工事が加わります。これらは1項目だけで数百万〜数千万円規模になることがあり、これが費用高騰の主因です。
理由②:資材・人件費の高騰
近年の建設業界における資材費・人件費の上昇は著しく、10年前の1回目と同じ工事内容でも費用は20〜30%以上高くなるケースがあります。インフレの影響は大規模修繕でも避けられません。
理由③:修繕積立金が不足しやすい構造
1回目はマンション購入時の修繕積立基金があるため資金ショートしにくいのですが、2回目以降は毎月の積立金のみが財源です。「段階増額方式の罠」「値上げ先送り」「1回目での使いすぎ」が重なると、資金不足に陥りやすくなります。
資金が不足したときの4つの対処法

近年の世界情勢を見ると修繕費用がどうしても足りないということが起きても仕方ないと思います。実際に資金が不足した際の4つの対処方を紹介いたします。
対処法①:長期修繕計画を今すぐ見直す
国土交通省ガイドラインでは長期修繕計画を5年ごとに見直すことを推奨しています。特に1回目の修繕が終わった直後が最大のチャンスです。戸あたり月額積立金が適切かどうかを専門家にチェックしてもらいましょう。
対処法②:積立金の値上げ・一時金徴収
先送りすればするほど将来の負担が増します。一時金徴収は住民の合意が必要ですが、工事前に実施することで積立金の不足を補えます。
対処法③:住宅金融支援機構の融資を活用する
「マンション共用部分リフォーム融資」は住宅金融支援機構が提供する低利・長期の融資制度です。積立金だけでは費用が賄えない場合の有力な選択肢です。管理組合が借入主体となります。
対処法④:工事内容を精査してコストを削減する ← 最も即効性が高い
見積もりに含まれる工事が本当に必要か、過剰設計・不要な工事が含まれていないかを第三者にチェックしてもらうことで、数百万円単位のコスト削減につながるケースがあります。
2回目の大規模修繕で発生するトラブルの実態|管理会社への丸投げが最大リスク
2回目で失敗する管理組合の共通点は、ほぼ例外なく「管理会社への丸投げ」です。管理会社は工事金額の最大20%をバックマージンとして受け取る構造を持っており、管理組合にとって最適な業者と、管理会社にとって最も利益になる業者は一致しません。コンサル経由でも、癒着・過剰設計によって費用がブラックボックス化するリスクは残ります。
自力で相見積もりを取っても、各社が独自仕様で見積もりを作成するため横比較ができず、悪質業者が混入しても管理組合側で判断できません。競争原理が正しく働くのは「優良業者同士の相見積もり」が前提であり、それを実現するための業者選定基準を管理組合は持っていないのが実態です。
独立エージェントという選択肢
この問題を解決するのが、管理会社でも施工会社でもない独立系エージェントです。施工会社からマーケティング費用を受け取る仕組みのため、管理組合への課金はゼロ。独自審査済みの優良業者のみで相見積もりを行うため、正しい競争原理が働きます。

2回目の大規模修繕を成功させる5つのコツ

失敗パターンを避けた上で、成功に近づくための具体的なコツをお伝えします。
コツ①:1回目が終わった直後から積立金を見直す
2回目の修繕が終わった時点が「長期修繕計画の見直しの最大のチャンス」です。3回目(給排水管全交換・エレベーター本体交換など、費用は1.5〜2倍以上)に向けて積立金が充足しているかを専門家とシミュレーションしておきましょう。
コツ②:中間メンテナンスを怠らない
大規模修繕の間に発生した小さな劣化を放置すると、次回修繕時のコストが膨らみます。特に外階段・鉄部塗装・防水の部分補修は定期的に実施し、先送りコストを防ぎましょう。
コツ③:1回目の経験を文書化してチームに引き継ぐ
住民説明会の進め方・理事会での合意形成の手順・業者との折衝経験など、1回目で得た知見を文書化・共有しておくことで、2回目以降のプロセスが格段にスムーズになります。
コツ④:居住者の高齢化ニーズに対応する
2回目を迎える頃には入居から20年以上が経過し、住民の高齢化が進んでいます。手すり設置・段差解消・スロープ設置などのバリアフリー化を修繕工事に組み込むことで、住居環境の改善と資産価値の維持が図れます。
コツ⑤:相見積もりは「優良業者限定」で実施する
相見積もりは「業者の質を担保した上で」行うことが大前提です。業者の財務状況・施工実績・アフターフォロー体制を事前に審査した複数社から見積もりを取ることで、初めて正しい競争原理が働きます。
工事期間中の過ごし方と住民への周知ポイント

「工事期間中、住民はどう過ごせばいいの?」という疑問も多く聞かれます。1回目より工期が長い2回目では、住民への丁寧な周知が成功の鍵を握ります。
工期の目安
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マンション規模 |
目安工期 |
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小規模(〜30戸) |
2〜3ヶ月 |
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中規模(30〜100戸) |
3〜5ヶ月 |
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大規模(100〜200戸) |
5〜8ヶ月 |
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超大規模(200戸超) |
8〜12ヶ月以上 |
住民への主な影響(事前に知っておくべきこと)
- 足場・養生シートによる採光・通風への影響(工期全体を通じて発生)
- バルコニー上のエアコン室外機・物置・植栽の一時撤去が必要
- 外壁洗浄・タイル補修時の騒音・振動(主に日中の作業時間帯)
- 塗装工程での臭気発生(窓を閉めるよう事前告知を)
- 共用廊下・階段への一時的な立入制限
- 機械式駐車場更新中は駐車場が使えない期間がある
住民周知のポイント(管理組合が動くべきタイミング)
- 工事着工の3ヶ月前までに住民説明会を実施し、工程表を共有する
- バルコニー荷物の撤去依頼は余裕をもって2〜3ヶ月前から案内する
- 各工程の開始前に掲示板・管理組合通知で影響内容・期間を明示する
- 高齢居住者・乳幼児のいる世帯には個別に影響を説明する
- 工事中の緊急連絡先・現場担当者を明確にして掲示しておく